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科目一覧へ戻る/Return to the Course List | 2022/03/28 現在/As of 2022/03/28 |
開講科目名 /Course |
日本法制史演習/SEMINAR ON JAPANESE LEGAL HISTORY |
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開講所属 /Course Offered by |
大学院/ |
ターム?学期 /Term?Semester |
2022年度/2022 Academic Year 春学期/SPRING SEMESTER |
曜限 /Day, Period |
水3/Wed 3 |
開講区分 /semester offered |
通年/Yearlong |
単位数 /Credits |
4.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
小栁 春一郎 |
科目区分 /Course Group |
大学院科目 演習科目 |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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小栁 春一郎 | 法律学科/LAW |
授業の目的?内容 /Course Objectives |
本演習は,法学研究科博士前期課程における「学位授与方針(DP)」の「学位の裏付けとなる『能力』」のうち「高度の専門性を有する職業に必要な学識」の修得,及び「教育課程の編成?実施方針(CP)」のうち「法学の分野における研究に必要な基礎的能力」の育成等を目的として,指導教員の指導の下、会社法の領域において、各受講生が、自主的に、明確かつ適切な主題(研究テーマ)を設定し,当該主題につき正確かつ明確な結論を示す論文を作成することができる能力を身につけることができるよう(DP参照),演習形式で高度の専門性を要する議論を行うことを内容とする。 具体的には,春学期では,受講生が,旧民法典の成立過程とその特徴について、理解する。本演習では、受講生は,フランス民法典の成立及び19世紀におけるその後の改正,注釈法学の成立について概括的知識を得た後,立案者であるボワソナードについて理解を深める。受講者は,ボワソナードのフランス時代の著作を検討した後に,日本における旧民法典編纂過程との関わりについて説明できるようになる。 秋学期では,受講生は,旧民法典について,財産編物権編を中心に理解できるようになる。まず,所有権規定,続いて共有関連規定,用益物権規定,共有規定,相隣関係規定について検討を深め,説明できるようになる。その後,日本人委員による法律取調委員会の議論を検討し,その後成立した旧民法典財産編についての注釈書等についても学ぶ。 |
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授業の形式?方法と履修上の注意 /Teaching method and Attention the course |
本科目は,原則として演習(ゼミナール)形式で行う。受講生には、毎回、各自が設定した主題の特定の部分について、十分な準備に基づいて、資料を作成し、報告することが求められる。報告内容については、授業内外において、特にその理解が不十分であると思われる箇所を中心に、指導教員から、学術論文等の必要な資料等が提示され、これに基づき補足説明等が行われる。これにより、受講者が設定した主題を総合的かつ精緻に理解することが可能となる。 なお,大学院側の事情により,対面授業が実施不可能な場合は,zoom等による遠隔授業により行う。いずれの場合でも,教員からの質問等を頻繁に行い,学生の返答を得る,また,学生からの質問を促すなど,双方向となるようにする。 |
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事前?事後学修の内容 /Before After Study |
事前学修として,前回において指摘された文献を調査し,また,事前学修参考用に配布された資料を読了しておくことが必要である(2時間)。 事後学修として,その回の要点を書きだすなどまとめをすること,及び課題に取り組むことが必要である(2時間)。 |
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テキスト1 /Textbooks1 |
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テキスト2 /Textbooks2 |
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テキスト3 /Textbooks3 |
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参考文献等1 /References1 |
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参考文献等2 /References2 |
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参考文献等3 /References3 |
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評価方法 /Evaluation |
出席を当然の前提とした上で、各回の報告内容及び指導教員からのフィードバックに基づく修正内容(100%)を基に、受講生が設定した主題について、正確かつ明確な結論を示す論文を作成することができる能力が身についているか否か(DP参照)という観点から評価する。 | ||||||||||
備考 /Notes |
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関連科目 /Related Subjects |
民法の領域に関する幅広い知識の修得に資するため、「民法特殊講義Ⅰ」を併せて履修することが望ましい。 | ||||||||||
到達目標 /Learning Goal |
日本法制史の分野における特定の研究課題に関する日本語及び外国語の学術文献又は関連資料等の内容を精確に理解し、それらを論理的に整理?分析するとともに、当該内容に関連して学術的に高度な議論を展開できるようにする。 |
回 /Time |
授業計画(主題の設定) /Class schedule |
授業の内容 /Contents of class |
事前?事後学修の内容 /Before After Study |
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1 | フランス民法典の成立 | ナポレオン民法典の成立過程について,歴史的な経過を把握するとともに,これに関する基本文献等について概括的に理解する。 | |
2 | フランス民法典の成立 |
ナポレオン民法典の特徴について,伝統的な評価(近代民法の出発点)のみならず,最近の研究での評価(差別を内包した構造があること)があることを把握する。 | |
3 | 19世紀フランス民法学の特質 |
注釈法学と呼ばれた19世紀の民法学の主な学者について,ドゥモロンブ,オブリーとローなどの主要人物の特徴を把握する。 | |
4 | 19世紀フランス民法学の特質 |
注釈法学といえども,実際の法的解決の妥当性を意識していたとする近年の研究を理解する。 | |
5 | 19世紀における財産法改正 | 19世紀における民事法改正として重要であった1855年不動産登記法の制定の意義を把握する。 | |
6 | 19世紀における財産法改正 | 19世紀から始まった担保法改正の意義を当時のフランス社会の展開との関連で理解する。 | |
7 | ボワソナードの伝記的研究 | 旧民法典の起草者として著名なボワソナードについて,生い立ち,学位取得状況などの歴史的事実を理解する。 | |
8 | ボワソナードの伝記的研究 | ボワソナードの時代のフランス民法学の特徴及びいかなる経緯で来日したかなどを把握する。 | |
9 | フランス時代のボワソナード著作①相続制度 | ボワソナードが,フランス民法典の導入した均分相続制度を支持していたことを,その著書をもとに把握する。 | |
10 | フランス時代のボワソナード著作①相続制度 | ボワソナードが,子たちの相続の実質的平等を支える遺留分制度も重視していたことを把握する。 | |
11 | フランス時代のボワソナード著作②物権変動論 | ボワソナードが,不動産物権変動において,登記のない物権変動は悪意の第三者に対抗しうるとしていたことを学修する。 | |
12 | フランス時代のボワソナード著作②物権変動論 | ボワソナードの学説が,注釈法学の学者から,厳しい批判を浴びていたことを学び,フランスにおけるボアソナード学説の位置づけを把握する。 | |
13 | 現代におけるフランスでのボアソナード評価① | 最近の物権変動論においてボアソナード説に近い結果が判例によって採用されたことを把握する。 | |
14 | 現代におけるフランスでのボアソナード評価② | フランスの2010年代の民法改正でボアソナード説的な判例について否定的な規定が民法に設けられたこと及びその意義を把握する。 | |
15 | 春学期のまとめ?旧民法典編纂作業 | 春学期の検討を振り返り,旧民法典編纂に関する諸資料を整理する。 | |
16 | 旧民法典ボワソナード草案財産編物権編所有権規定 | ボワソナードが所有権を自然権として位置付けていたことを当時のフランス法との文脈で位置付ける。 | |
17 | 旧民法典ボワソナード草案財産編物権編所有権規定 | ボワソナードがパリコミューンなどに非常に批判的であり,自由主義的なフランス法学者トロロンの深い影響下にあったことを理解する。 | |
18 | 旧民法典ボワソナード草案財産編物権編所有権規定 | ボワソナードは,所有権制限にも一定程度積極的であったことを,相隣関係規定などを中心に把握する。 | |
19 | 共有関連規定 | フランス法における共有関連規定の特徴である共有物の使用,保存行為,管理行為,処分行為の別を学修する。 | |
20 | 共有関連規定 | ボワソナードの共有規定が基本的にフランス法の影響下にありつつも,なお進んだ点があったことを把握する。 | |
21 | 用益物権関連規定 | 用益権(usufruit)についてのフランス法の特徴を理解し,ボアソナード旧民法論研究の前提を作る。 | |
22 | 用益物権関連規定 | ボワソナードが日本民法への用益権規定を不要とする日本人法学者と論争したことを把握する。 | |
23 | 占有関連規定 | フランス占有関係規定が,不動産を重視していたこと,とりわけ,占有訴権が不動産にのみ開かれていたことを理解する。 | |
24 | 占有関連規定 | ボワソナードの占有関連規定がフランス法の影響下にあったことを把握する。 | |
25 | 旧民法典編纂前史1 | 民法典編纂前の日本の民事法の状況を明らかにする。とりわけ,不動産登記制度の発展を理解する。 | |
26 | 旧民法典編纂前史2 | 民法典編纂前にあった,代理等に関する単行法規を整理?分析する。 | |
27 | 賃貸借規定1 | ボアソナードの賃借権物権論がどのようにして,否定されていったかを把握する。 | |
28 | 賃貸借規定2 | ボアソナードの賃借権規定が現行法に影響を与えている部分を理解する。 |