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科目一覧へ戻る/Return to the Course List | 2022/03/28 現在/As of 2022/03/28 |
開講科目名 /Course |
財政金融特殊研究(財政学)/FINANCE AND MONETARY(PUBLIC FINANCE) |
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開講所属 /Course Offered by |
大学院/ |
ターム?学期 /Term?Semester |
2022年度/2022 Academic Year 春学期/SPRING SEMESTER |
曜限 /Day, Period |
火3/Tue 3 |
開講区分 /semester offered |
通年/Yearlong |
単位数 /Credits |
4.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
野村 容康 |
科目区分 /Course Group |
大学院科目 講義科目 |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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野村 容康 | 経済学科/ECONOMICS |
授業の目的?内容 /Course Objectives |
(研究科ポリシーとの関係) 経済学研究科博士後期課程の学位授与方針(DP)が示す「研究者として自立して研究活動を行うために必要な高度の研究能力」を養うように、現代財政に関する諸問題を独力で分析するための高度な専門知識を習得することを目指すものである。とりわけ緻密な分析により、現実の社会が直面している諸問題に対し解決策を提案する能力およびその解決策の効果を評価し、限界を明らかにする能力の養成を目標とする。 (授業の目的と内容) 下記の文献に依拠して「課税の経済効果」について考察する。とりわけ所得税?法人税を中心に課税が家計と企業の行動にどのような影響を及ぼすかに焦点を絞り、様々な局面での課税の効果を理論?実証の両面から検討するとともに、課税の効果を踏まえた望ましい制度設計のあり方について考察する。 |
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授業の形式?方法と履修上の注意 /Teaching method and Attention the course |
原則として、毎回受講者の報告と討論という形で講義を進める。 受講生は、指示されたテキストの範囲について、事前に精読したうえ、要点をレジュメにまとめてくる。授業後は、討論の内容を踏まえて、改めてテキストの該当箇所を要約し、次回に1000字程度のレポートを提出する。以上の作業を通じて受講生が特に興味をもったテーマについては、より詳細な分析を加えた3000字程度のレポートを作成のうえ、学期末に提出する。提出の求められたレポートについては、原則として次回の授業時に教員によるコメントが付けられて返却されるほか、適宜manabaのレポート機能を使ってフィードバックが行われる。 |
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事前?事後学修の内容 /Before After Study |
レジュメ作成にあたっては、新たな専門用語について必ずその定義を明確にしておく必要がある。また、理論分析では、設定されている種々の仮定を整理し、その現実妥当性を吟味するとともに、分析結果の政策的含意について自身の見解を明示しておくこと。 28週の授業期間のうち、事前学習に3時間、レポート作成を含む事後学習に1時間、期末レポートの作成のための8時間、合計120時間の授業外学習を基本とする。 |
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テキスト1 /Textbooks1 |
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テキスト2 /Textbooks2 |
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テキスト3 /Textbooks3 |
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参考文献等1 /References1 |
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参考文献等2 /References2 |
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参考文献等3 /References3 |
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評価方法 /Evaluation |
授業への取り組み姿勢(50%)、レポートの内容(50%)を考慮して評価する。 各回終了後のレポートについては、①専門用語、仮定?分析方法、分析結果、政策的含意が明確にされているか、②授業内での討論の成果が反映されているか、を考慮して評価する。期末レポートについては、①当該テーマについて、テキストとは異なる視点?含意が加えられているか、②米国ないし日本における最新の租税制度に関する知見が踏まえられているか、といった点を重視して評価する。 |
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備考 /Notes |
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関連科目 /Related Subjects |
課税の経済効果に関する理解を深めるうえで、近接科目として「都市経済学」、「経済政策論」、「環境経済学」を受講することが望ましい。 | ||||||||||
到達目標 /Learning Goal |
財政学?金融論についての博士レベルの知識を修得し,財政?金融に関連する諸問題を精密に分析できるようにする. |
回 /Time |
授業計画(主題の設定) /Class schedule |
授業の内容 /Contents of class |
事前?事後学修の内容 /Before After Study |
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1 | ガイダンス | 本講義全体の主旨の概要、その達成目標について説明する | |
2 | 課税のミクロ的効果 | 課税の個人?企業の行動に与えるミクロ経済効果のサーベイを行う | |
3 | 課税のマクロ的効果 | 課税の家計貯蓄(消費)、企業投資に与えるマクロ経済効果のサーベイを行う | |
4 | 資本所得課税と貯蓄 | 利子課税と貯蓄との関係に関する理論的分析を行う | |
5 | 課税と家計の資産選択 | 金融所得税が家計の資産選択に与える効果のサーベイを行う | |
6 | 個人所得税と労働供給 | 個人所得税と労働供給との関係に関する理論的分析を行う | |
7 | 法人税と実物投資 | 新古典派の投資決定理論に基づき法人所得税の実物投資に与える効果を考察する |
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8 | 課税と企業の資金調達 | 資本コストの概念を使って、課税が借入?新株発行?内部留保などの資金調達の決定に与える効果について考察する | |
9 | 法人所得の二重課税 | インピュテーション方式、支払い配当損金算入方式、ノルウェーの株主所得税などの法人所得の二重課税調整方法について整理する | |
10 | 中立的な法人課税 | 国内投資だけでなく、海外直接投資や利益配分などの法人の意思決定に与える課税の効果について整理する | |
11 | キャッシュフロー法人税とACE法人税 | 具体的な中立的法人税として提案される制度の仕組みと問題点について検討する | |
12 | 包括的事業所得税(CBIT) | 企業の資金調達決定に中立的となる、より課税ベースの広い企業課税の仕組みと問題点について検討する | |
13 | 法人税の国際的調和 | EUや世界レベルでの共通法人税制構築の動向について検討する | |
14 | デジタル課税の問題 | 国際的租税回避の現状とGAFAへの課税問題、BEPSプロジェクトの進展について検討する | |
15 | 法人税の転嫁問題 | ハーバーガーの定理を押さえたうえで、一般均衡分析と税の資本化について理解を深める | |
16 | 租税の再分配効果 | 累進的な個人所得税を例にして、租税の再分配効果のサーベイを行う | |
17 | 所得格差と再分配効果の測定方法 | 具体的な再分配効果の計測方法として、レイノルズ?スモレンスキー係数の導出方法を理解する |
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18 | 個人所得税の再分配効果 | 税率、所得控除、税額控除、給付付き税額控除の効果についてサーベイを行う | |
19 | 資産課税の再分配効果 | 遺産動機の種類と相続税の効果を整理するとともに、富裕税等の資産保有税の効果について検討する | |
20 | 間接消費課税の経済効果 | 個別消費税と一般消費税の仕組みとその効果の違いについて検討する | |
21 | 個別間接税の根拠と効果 | シンタックスによる目的税の根拠、利点、効果ならびにその問題点について検討する | |
22 | 環境税の事例分析 | ピグー税、ボーモル?オーツ税を理論的に把握したうえで、北欧の環境税の実際についてサーベイを行う | |
23 | 付加価値税の理論 | 付加価値税の類型、課税標準の算定方法に基づいた直接税と間接税の違いについて理解する | |
24 | 消費型付加価値税の経済効果 | EU型付加価値税を例にして、消費型付加価値税の投資促進効果、複数税率化の効果について検討する | |
25 | 消費税と所得分配 | 一般消費税の逆進性問題を把握し、逆進性対策としてのカナダの給付付き税額控除の効果について検討する | |
26 | 日本の消費税の問題点 | 現行消費税の仕組みを押さえたうえで、複数税率、社会保障目的税、簡易課税制度等に伴う問題点について考察する | |
27 | 固定資産税の効果 | 不動産課税の地価に与える効果についてサーベイを行い、空き家問題との関連性について考察する | |
28 | まとめ | それまでの授業内容を総括したうえで、受講生の疑問点について議論を行う |