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科目一覧へ戻る/Return to the Course List | 2023/08/29 現在/As of 2023/08/29 |
開講科目名 /Course |
表象文化論/CULTURE AND REPRESENTATION |
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開講所属 /Course Offered by |
外国語学部交流文化学科/FOREIGN LANGUAGES TOURISM AND TRANSNATIONAL STUDIES |
ターム?学期 /Term?Semester |
2023年度/2023 Academic Year 春学期/SPRING SEMESTER |
曜限 /Day, Period |
火4/Tue 4 |
開講区分 /semester offered |
春学期/Spring |
単位数 /Credits |
2.0 |
学年 /Year |
2,3,4 |
主担当教員 /Main Instructor |
高橋 雄一郎 |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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高橋 雄一郎 | 交流文化学科/TOURISM AND TRANSNATIONAL STUDIES |
授業の目的?内容 /Course Objectives |
(戦争の記憶と表象――「慰安婦」像を中心に) この授業では、毎年、日本が過去150年の近代化の過程でおこなった戦争と植民地支配の記憶、特に、犯してきた残虐行為がどのように表象されているかを、皆さんと一緒に考えています。今年は、ソウルの日本大使館前などに設置されている「慰安婦」像に焦点をあてます。「慰安婦」については、何となく知っているが詳しく調べたことはない、という人も多いようです。歴史をしっかり学び直しながら、議論を深めていきましょう。 「慰安婦」については、2015年に日韓の外務大臣が合意し、「慰安婦問題」が「最終的かつ不可逆的に」解決されたと発表しました。しかしこの合意は、日本政府による正式な謝罪や賠償を含まず、当事者である元慰安婦たちの頭越しに政府間で結ばれました。この授業を履修される方は登録前に、以下の日本外務省のページに目を通してください。 https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_001664.html まず、ページタイトルが「日韓両外相共同記者発表」となっているのに注目しましょう。「慰安婦」問題が両国間での正式文書の交換ではなく、「記者発表」で片付けられてしまっています。この発表をおこなったのが、安倍政権で外務大臣だった岸田現総理大臣です。 次に記者発表の内容を読みましょう。日本側、韓国側とも3点が挙げられていますが、まずは日本側発表の問題点です。 1. 「日本政府は責任を痛感」しており、「安倍内閣総理大臣」は「心からお詫びと反省の気持ちを表明する」としていますが⇒政府?国として「謝罪」するという文言はどこにもありません。 2. 「韓国政府が,元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し,これに日本政府の予算で資金を一括で拠出」⇒お金は出すけれども、日本政府は直接は何もしない、と言っていませんか。 3. 「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」⇒歴史に「最終的?不可逆的解決」があるのでしょうか。慰安婦問題をこれで手打ちして、あとは忘れてしまおう、という傲慢な発言に聞こえます。 次は韓国側発表。 1. こちらも「最終的?不可逆的解決」と言っていますが、朴槿恵大統領はこの翌年、国会で弾劾訴追案が成立し、大統領を罷免されています。 2. 「日本大使館前の少女像」について「適切な解決」に向けて努力する、と言っていますが⇒強制的に撤去するという意味なのでしょうか。 3. 「今後,国連等国際社会において,本問題について互いに非難?批判することは控える」⇒歴史認識は時代ともに変化するものです。「もう二度と非難しません」などと互いに約束するのは、おかしなものではないでしょうか。 合意を伝えるBBCの記事(日本語)を参照してください。 https://www.bbc.com/japanese/35192235 ソウルの日本大使館前では1992年1月から、毎週水曜日の昼に抗議集会が開かれています。「平和の少女像」は1000回目の集会を記念して2011年に設置されました。 https://www.asahi.com/articles/ASQ155T7JQ15UHBI011.html (以下スペースがなくなったので、下の欄に続きます。) |
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授業の形式?方法と履修上の注意 /Teaching method and Attention the course |
(上の欄からの続きです) 2019年、名古屋を中心に3年に一度開催される大規模な芸術祭『あいちトリエンナーレ』の中の企画展「表現の不自由展、その後」に、「平和の少女像」が展示されました。ところがこの企画展には、中止を求める脅迫、抗議の電話、ファックス、手紙などが次から次へと舞い込み、安全を確保できないと判断した主催者は、初日からわずか3日間で中止にしてしまいました。(企画展は2ヶ月の中断の後、会期最後の6日間、入場者数を抽選で絞るなどして再開されました。) https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4324/index.html 現在、慰安婦像は異なるヴァージョンのものを含め、韓国だけでなく、アメリカ合衆国、オーストラリア、カナダ、ドイツなどに多くが設置されていますが、日本政府は日本の右翼団体らと協働して、像の撤去を働きかけています。2018年にはアメリカ合衆国での慰安婦像設置問題を描いたドキュメンタリー映画『主戦場』が公開され、大きな反響を呼びました。 http://www.shusenjo.jp/ (授業の形式?方法と履修上の注意) *Covid 19の感染拡大がなければ対面授業とします。授業の録画、オンデマンドの配信などは原則として行わない予定です。 *授業の連絡、データで送信可能なテクストの配布など、manabaを使います。 *フィードバックを毎週、授業の翌日までにお願いします。こちらはFacebookを使います。詳しい説明は初回授業でおこなうので、Facebook初めての方でも問題はありません。慣れている方は以下のグループ「2023 木曜日3限 春学期 高橋雄一郎 授業フィードバック」にメンバー?リクエストをお願いします。 https://www.facebook.com/groups/906910903682811 *女たちの戦争と平和資料館(早稲田)、靖国神社遊就館(九段)などの展示施設に足を運ぶことを推奨します。可能であれば、課外授業として土日を利用し、受講生で一緒に行きたいと思います。 |
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事前?事後学修の内容 /Before After Study |
*次のページの授業スケジュールは仮のものです。アップデートしたものを初回の授業で説明し、manabaに掲載します。 事前?事後学修の内容 (事前)授業で使用するテクストを必ず精読して予習し、背景となる歴史や社会状況についても調べ、問題点や質問事項を整理して授業に臨んでください。 (事後)授業後は授業中のディスカッションでは解決できなかった疑問、自分の意見などのフィードバックをお願いします。 |
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テキスト1 /Textbooks1 |
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テキスト2 /Textbooks2 |
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テキスト3 /Textbooks3 |
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参考文献等1 /References1 |
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参考文献等2 /References2 |
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参考文献等3 /References3 |
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評価方法 /Evaluation |
ポートフォリオ 50% (ポートフォリオは事前?事後学修を含め、この授業に関連して調べたこと、考えたことをまとめたものです。内容については授業で詳しく紹介するので、作製するのが初めての方でも心配はいりません。) 毎週書込みするフィードバックの総計 50% |
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関連科目 /Related Subjects |
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備考 /Notes |
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到達目標 /Learning Goal |
表象文化に関する専門知識を習得し、社会における表象の重要性や表象によって意味が構築される過程などについて分析を行い、見解を提示できるようにする。 |
回 /Time |
授業計画(主題の設定) /Class schedule |
授業の内容 /Contents of class |
事前?事後学修の内容 /Before After Study |
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1 | 0412 イントロダクション/映画『主戦場』予習 | 1. 自己紹介(なぜ慰安婦像についての授業を履修したか)2. 2015年12月28日?韓日「最終的不可逆的な合意」3. 初回授業の前にお願いしてある課題の回答、ほか | |
2 | 0419 公娼制度 | 教科書『日本軍「慰安婦」問題すべてに答えます』1-2章についてのディスカッション | |
3 | 0426 『主戦場』と米国/世界の慰安婦像 | 教科書3章 | |
4 | 0510 慰安婦証言 | 1990年代 慰安婦問題の進展 | |
5 | 0517 日本で起された国に賠償を求める裁判 | 女性基金 | |
6 | 0524 2000 教科書 国際女性戦犯法廷 | 0524 NHK 番組改ざん問題 | |
7 | 0601 『ワシントンポスト』紙意見広告 | 2007 米国連邦議会 下院 決議 | |
8 | 0608 平和の少女像 | 『空いた椅子に刻んだ約束』第I部 | |
9 | 0615 平和の少女像 | 『空いた椅子に刻んだ約束』第2部 | |
10 | 0622 平和の少女像 | 『空いた椅子に刻んだ約束』第3部 『帝国の慰安婦』について(102-6ページ) |
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11 | 歴史戦 | ワシントンポスト意見広告、慰安婦像(海外)グレンデール、サンフランシスコ、ベルリンほか | |
12 | あいちトリエンナーレ、「表現の不自由展、その後」 | 大阪市による姉妹都市提携中止について | |
13 | 世界遺産登録をめぐって | 軍艦島?佐渡金山など | |
14 | まとめ | ふりかえりのディスカッション |