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科目一覧へ戻る/Return to the Course List | 2024/08/29 現在/As of 2024/08/29 |
開講科目名 /Course |
韓国特殊研究(韓国メディア論)/SPECIAL STUDIES IN KOREA: |
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開講所属 /Course Offered by |
国際教養学部言語文化学科/INTERNATIONAL LIBERAL ARTS INTERDISCIPLINARY STUDIES |
ターム?学期 /Term?Semester |
2024年度/2024 Academic Year 春学期/SPRING SEMESTER |
曜限 /Day, Period |
月5/Mon 5 |
開講区分 /semester offered |
春学期/Spring |
単位数 /Credits |
2.0 |
学年 /Year |
2,3,4 |
主担当教員 /Main Instructor |
青木 義幸 |
遠隔授業科目 /Online Course |
- |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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青木 義幸 | 言語文化学科/INTERDISCIPLINARY STUDIES |
授業の目的?内容 /Course Objectives |
韓国では「デモのない日はない」と言われるほど、デモや集会は日常に溶け込んでいる。韓国のデモというと、日本に対する抗議デモを思い浮かべるかもしれないが、それらは韓国におけるデモのごく一部に過ぎない。労働環境の改善を求める労働運動、原発政策に反対する環境運動、障害者?性的マイノリティ?外国人労働者といった社会的弱者の権利向上を求める集会など、様々な社会問題に取り組むデモが日々行われているのである。 韓国社会においてデモが日常の光景となっているのは、韓国の人々がデモを民主的な社会における大切な意思表明の手段であり、韓国の民主主義を支える重要な行為として受け入れているからである。なぜ、韓国では民主主義とデモ(社会運動)は強く結びついて理解されているのだろうか? その一つの理由は、植民地解放後の民主化運動による闘いが国家の歴史として正統性を与えられているだけでなく、国家の記念事業や映画やドラマといった文化的表象を通じて民主化運動が体現していた民主主義の価値が社会的に想起され続けているからである。つまり、韓国の民主化運動に関する歴史や記憶について学ぶことは、現代韓国社会に生きる人々が社会運動に見いだしている民主主義の姿を理解する入り口なのである。 本講義の一次的な目標は、1980年代の韓国民主化運動を知ることにある。具体的には1980年5月の光州抗争や1987年の6月抗争といった重要な出来事だけでなく、大学生、労働者、女性、農民といった様々な市民の活動や彼ら/彼女らに対して加えられた軍部による激しい弾圧がもたらした恐怖、悲しみ、怒りといった感情や記憶についても学んでいく。 80年代の出来事や記憶を踏まえることは、『1987』『タクシー運転手』『26年』『スノードロップ』のように1980年代の民主化運動を描いた作品(メディア表象)を解釈する前提となる。なぜなら、社会的記憶の構築という観点からすると、いずれの作品もある視点から民主化運動の記憶を構築する役割を果たしているからである。講義では『1987』を事例に、作品が韓国の聴衆に訴えかけようとする民主主義のあるべき姿を捉えるだけでなく、80年代の全体像を理解することによって初めて見て取れる忘却された民主化運動の姿を考察していく。 1980年代の民主化運動に関する学びには、韓国民主主義やメディア表象の理解だけでなく、現代韓国の社会問題を理解する糸口としての価値もある。例えば、現代韓国社会では若者世代(2030世代)と民主化運動世代との世代間対立が表面化しつつあるが、この亀裂には民主化運動の評価が深く関わっている。民主主義教育の中で育った若者世代は民主化運動世代がかつて犠牲を払い、苦悩の中で民主化運動に参与したことを否定はしない。しかし、若年層における非正規雇用労働者の増加と失業、女性に対する社会的差別、不動産価格の高騰、依然として変わらない学閥主義といった問題に直面している2030世代は、民主化運動世代に対して、彼らが声を枯らすほどに叫び勝ち取ったと誇る「民主化」が虚構に過ぎなかったのでは無いかと疑いの目を向けている。このような2030世代による「民主化」に対する猜疑心は、1987年の「民主化」をどのように記憶するかという現在の問題と深く関わっているのである。 |
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授業の形式?方法と履修上の注意 /Teaching method and Attention the course |
【注意1】 メインテキストに指定している“The South Korean Democratization Movement”は、第二言語として英語を用いる学部生を対象としたテキストであるため比較的平易な英語が用いられています。固有名詞等については授業で解説を行っていきます。 【注意2】韓国語が全く分からなくても問題ありません。ただし、英語ではなく韓国語でテキストを読みたい学生や一次史料を韓国語で読んでみたい学生は、担当教員に連絡して下さい。 |
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事前?事後学修の内容 /Before After Study |
課題テキストを読了するとともに、講義中の質問及びリアクションペーパー作成の準備してくること。 | ||||||||||
テキスト1 /Textbooks1 |
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テキスト2 /Textbooks2 |
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テキスト3 /Textbooks3 |
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参考文献等1 /References1 |
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参考文献等2 /References2 |
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参考文献等3 /References3 |
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評価方法 /Evaluation |
授業に対する積極的参加度(30%)、リアクションペーパー(30%)、期末レポート(40%) |
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関連科目 /Related Subjects |
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備考 /Notes |
“The South Korean Democratization Movement”は、入手困難のためファイルを配布します。 | ||||||||||
到達目標 /Learning Goal |
「韓国研究科目群」の他科目では触れることが難しい分野や領域にわたって韓国を研究分析し、見解を提示できるようにする。 |
回 /Time |
授業計画(主題の設定) /Class schedule |
授業の内容 /Contents of class |
事前?事後学修の内容 /Before After Study |
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1 | 総合ガイダンス | 授業の進め方及びテキストの概要説明を行う。 | |
2 | 社会における記憶と忘却のメカニズム | 過去の出来事が集合的記憶となる、プロセス及びメカニズムについて学習する。 | |
3 | 1980年 ソウルの春と民主化運動 | 朴正熙政権終焉に伴う民主化運動の活性化と軍部クーデターによる運動の萎縮過程について学習する。 | |
4 | 1980年5月 光州抗争 | 軍による光州市民の虐殺と弾圧に対する抵抗として市民による蜂起が起こったプロセスを学習する。 | |
5 | 光州抗争の記憶 | 光州抗争がその後の民主化運動にもたらした影響、及び現在の韓国社会における光州抗争の記憶について学習する。 | |
6 | 大学自律化措置と学生運動 | 1980年代中盤の大学自律化措置と学生運動の爆発的な拡大について学習する。 | |
7 | 反米主義の登場 | 1980年代の特筆すべき特徴である反米主義の擡頭について学習する。 | |
8 | 社会運動の急進化と5?3仁川闘争 | 革命を求める動きが拡大していく背景について学習する。 | |
9 | 憲法改正運動の展開 | 国民全体を巻き込む「民主化」=「憲法改正」という図式の登場とその余波について学習する。 | |
10 | 農民、教育者、一般国民の民主化運動 | 農民、教育者、一般市民が草の根レベルで行った民主化運動の実態について学習する。 | |
11 | パク?ジョンチョルの拷問致死 | 国家暴力の究極の形としての拷問致死が民主化運動に与えた影響について学習する。 | |
12 | 6月抗争と大統領制直接選挙制 | 1987年の6月抗争のプロセスを学と共に、正史から排除される運動の記憶について学習する。 | |
13 | 民主化の意味 | 1987年の民主化が勝ち取った変化と残された課題について学習する。 | |
14 | 民主化運動の映像分析 | 映像メディアに描かれた運動の姿と描かれていない姿の比較を通じて、韓国社会における民主化の記憶とは何かを学習する。 |