1998年 第11回獨協インターナショナル?フォーラム
「翻訳-文化-国際理解」
日時 | 1998年12月19日(土)~ 20日(日)2日間 |
---|---|
主催 | 国際交流センター |
主旨 | 本年度の獨協大学インターナショナル?フォーラムは、「翻訳―文化―国際理解」というテーマで開催されます。私たちは翻訳を通じて他の文化圏の様々な文化を摂取してきましたし、現在も 摂取しています。言葉の壁を乗り越えて様々な文化圏が相互に理解し合うために、翻訳は過去?現在を問わず重要な役割を果たしています。翻訳とは、歴史的?社会的に異なる背景を持つ文化を互いに結びつける実践活動ということができるでしょう。 また、私たちは翻訳を通じて他の文化圏と接触し、それに対する理解を深め、あるいは私たちの文化を他の文化圏に紹介することによって、国際理解をはかっています。このような国際理解という観点から翻訳を考えると、そこには当然、今日私たちの生きている社会の状況が反映されていることがわかります。 様々な生活領域で言語や文化の違いを超えた接触が進んでいる現在、翻訳の果たす機能と重要性はますます高まっています。こうした状況のもとでは、翻訳は相互 理解と交流の前提条件といえます。それゆえ、翻訳?文化?国際理解は相互に密接な関係にあり、これら三者の関連の中で、それぞれの在り方や問題点を分析?検討する必要があると考えられます。 今回のフォーラムでは、日本語とドイツ語という二つの言葉の間の翻訳を中心に、相互理解と文化交流の問題をとりあげます。歴史的な観点からこの問題を討議するために、日本の古典文学がどのようにドイツ語に翻訳されているか、具体的な事例をとりあげて検討します。また、今回 は中国?韓国?タイからも専門家を招いて、他の文化圏でのドイツ語への翻訳事情に関する講演をプログラムに加えることができました。これらの専門家の報告では、全く別の文化的伝統をもつ国々で翻訳をめぐってどのような問題が生じるのか、また翻訳を通じてどのような文化的違いが浮かび上がってくるのかが論じられることでしょう。アジアからの参加者を迎え、日本での事例に限らず、アジアとヨーロッパの関係へと視野を拡大することによって、より多角的な視点から議論が行われることと思われます。これに加え、機械翻訳をも含めた言語学的な視点からの議論も企画しています。またフォーラムの冒頭では個別討議への導入として、翻訳のかかえる一般的な問題を紹介してその意義を問いかける講演を予定しています。このような多角的視野からの議論が、国際理解とは何かを探る基盤が形成されることを期待しています。 翻訳という問題を文化および国際理解との関連性において様々な観点から検討していこうという今回のフォーラムでは、文学?言語?翻訳の専門家だけではなく、翻訳を通じて外国の文化に接し、国際理解に関心をお持ちの一般の方々のご参加が是非とも必要です。多くの方々のご参加を得て、議論が多面的に行われることを期待しておりますのでふるってご参加ください。 |
日程および参加者
12月19日(土)第1日目
9:00 -9:30 | 受付 |
9:30 -10:00 | 開会の挨拶 |
『翻訳のはなし』 | |
10:10-12:00 | ?「翻訳の限界」 諏訪 功(一橋大学教授) ?「メタファー?イディオム?文化」 脇阪 豊(マンハイムドイツ語研究所) |
『外国(ドイツ)における日本文学』 | |
13:00-14:00 | 「ドイツ語圏における俳句の受容」 加藤慶二(筑波大学教授) |
14:10-15:10 | ?「名ははかなき響き、煙の如く消えゆくもの」(ゲーテ『ファウスト』) ?-前近代日本叙情詩における翻訳問題としての地名- ローラント?シュナイダー(ハンブルク大学教授) |
15:30-16:30 | 『土佐日記』の「翻訳」をめぐって -翻訳文化の事例研究- ヴェルナー?シャウマン(大正大学助教授) |
16:30-17:00 | 討論 |
12月20日(日)第2日目
9:00 -9:30 | 受付 |
『言語と翻訳』 | |
9:30-10:30 | 「-翻訳の理論- 社会言語学と言語実用論の視点から」 ハルトムート?ハーバーラント(ロスキレ大学教授) |
10:40-12:00 | ?「ユーザ?インターフェースとしての言語生成 -インターネット上のWEBサーバ?アプリケーションにおける試み-」松村保寿(名古屋大学教授) ?「機械翻訳 -ある壮大な試み-」 住大恭康(獨協大学大学院博士後期課程) |
『アジアとヨーロッパの相互理解』 | |
13:00-14:00 | 「タイ語におけるドイツ文学の翻訳 ドイツ語?タイ語翻訳特有の問題」 アンパ?オトラクル(チュラロンコン大学準教授) |
14:10-15:10 | 「中国文化の発展における翻訳の意義」 黄 文華(魯迅文学研究所教授) |
15:30-16:30 | 「翻訳という研究領域の確立と国際理解」 キム ビョンオク(独韓文学翻訳研究所教授) |
16:40-17:30 | 総括、閉会式 |