2003年 第16回獨協インターナショナル?フォーラム
コミュニケーション重視の英語教育の反省とその将来の展望 ―「文法」の位置付けを中心として
日時 | 2003年12月13日(土)~14日(日) 開催 |
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主催 | 獨協大学国際交流センター |
使用言語 | 英語 |
参加者 | ロッド?エリス(オークランド大学)、ジョン?テーラー(オタゴ大学)、エリ?ヒンケル(シアトル大学)、トム?ヒル(獨協大学)、田中茂範(慶応大学)、阿部一(獨協大学)、瀬戸賢一(大阪市立大学)、岡田伸夫(大阪大学)、岡田圭子(獨協大学) |
主旨 | コミュニケーションを重視する外国語教育が世界的に認められ、かつ世界各地でその実践が行われるようになってから20年余りたつ。しかしながら、近年ではその有効性は認められつつも、さまざまな点でこの教育法の再検討が叫ばれるようになってきた。特に、場面や状況を生かしたコミュニケーション活動における教室内での文法指導をどのように行えばよいかという問題や、外国語教育の中で言語の「正確さ」をどう扱えばよいのかという問題はよく外国語教師の間で話題に上っている。ややもすると、文法はコミュニケーション重視の外国語教育の中で弊害の最たるものとされ、コミュニケーション能力の習得を阻害する元凶とされがちである。そして、不幸なことにそういった風潮が過去あったがために、コミュニケーション重視の英語教育の中でも文法指導は明確で適切な位置付けがなされてこなかったし、今なおなされているとは言い難い。 しかしながら、本来すべての言語には「文法」は存在し、「文法」なしの言語は考えられない。その意味では、「文法」がなければそれに見合った意味的なものを確立してコミュニケーションをなしえることができないのである。そうした意味合いにおいて、ここでいう「文法」とはあらゆる言語における中核をなしているものといえる。では、我々が英語教育で必要とする「文法」とは一体どういうもので、どのように位置付けられるべきものであろうか。そして、その「文法」はどのような形で教材化でき、また現場での指導に役立つものであろうか。 このフォーラムでは、英語教育における「文法」のあり方とその重要性を再検討するとともに、近年脚光を浴びてきている意味重視の文法指導の実際、意味の取り扱いについて活発な議論や発表が相次いで行われている認知言語学?認知意味論のこの領域における応用の可能性についても検討する。そうすることで、理論?実践の両面から「文法」及び「文法指導」について再考?再構築をめざすよすがとなればと思う。 |
日程および参加者
12月13日(土)
9:15-9:30 | 受付 |
9:30-10:00 | 開会の挨拶:桑原靖夫(獨協大学学長)、阿部 一(国際交流センター所長) |
10:00-11:30 |
基調講演:ロッド?エリス教授(紹介:阿部教授) "Investigating Form-Focused Instruction: Past and Present" |
11:30-12:30 |
公開討論会:司会:阿部教授 討論者:エリス教授,テーラー教授,田中教授,岡田教授 |
12:30-13:30 | 昼食 |
13:30-14:30 | 発表#1:エリ?ヒンケル教授 "Teaching Grammar for Context: Real Purpose, Realistic Tasks" |
14:30-15:30 | 公開討論会:司会:トム?ヒル教授 討論者:ヒンケル教授,エリス教授,テーラー教授,岡田教授,阿部教授 |
15:30-16:00 | コーヒーブレーク |
16:00-17:00 | 発表#2:田中茂範教授?阿部 一教授 "Pedagogical Grammar for Japanese Students of English: Theory and Practice" |
17:00- | 質疑応答:司会:岡田圭子助教授 |
12月14日(日)
9:30-11:00 | 特別講演:ジョン?テーラー教授 (紹介:阿部教授) "Cognitive Linguistics: Past, Present ... and Future" |
11:00-12:00 |
公開討論会:司会:阿部教授 討論者:テーラー教授,エリス教授,田中教授,瀬戸教授 |
12:00-12:45 | 昼食 |
12:45-13:45 | 発表#3:ロッド?エリス教授 "Measuring Implicit and Explicit Knowledge of L2 Grammar" |
13:45-14:00 | 質疑応答: 司会:トム?ヒル教授 |
14:00-14:15 | コーヒーブレーク |
14:15-15:45 | 実践発表: 司会:岡田圭子助教授 #1:中学校部門"Grammar Teaching in Junior H.School" #2:高校部門"Grammar Teaching in Senior H.School" #3:その他の部門"Grammar Teaching in University and College" |
15:45-16:00 | コーヒーブレーク |
16:00-17:00 | 発表#4:エリ?ヒンケル教授 "Economical Grammar Curriculum: Building on Learner Language" |
17:00-17:15 | 質疑応答: 司会:岡田助教授 |
17:15-17:30 | 全体討論?総括:阿部 一教授 |
17:30- | 閉会の辞:阿部 一教授 (国際交流センター所長) |
基調報告者?特別報告者と研究テーマ
氏名?所属?タイトル | 専門領域 | 論文?著書 |
ロッド?エリス Rod Ellis 所属:Auckland University, New Zealand |
第二言語習得 Second Language Acquisition |
The Study of Second Language Acquisition (OUP) Second Language Acquisition (OUP) |
ジョン?テーラー John Taylor 所属:University of Otago, New Zealand |
認知言語学 Cognitive Linguistics |
Cognitive Grammar (OUP) Linguistic Categorization (OUP) |
報告者と研究テーマ
氏名?所属?タイトル | 専門領域 | 論文?著書 |
エリ?ヒンケル Eli Hinkel 所属:Seattle University |
第二言語習得 Second Language Acquisition |
New Perspectives on Grammar Teaching in Second Language Classrooms (LEA) |
田中 茂範 Shigenori Tanaka 所属:慶応大学 |
応用言語学 Applied Linguistics |
「ことばの意味付け論」(紀伊国屋書店) 「認知意味論」(三友社) |
阿部 一 Hajime Abe(コーディネーター) 所属:獨協大学 |
応用言語学 Applied Linguistics | 「ダイナミック英文法」(研究社) 「英単語の意味とイメージ」(研究社) |
討論者?司会者と研究テーマ
氏名?所属?タイトル | 専門領域 | 論文?著書 |
トム?ヒル Tom Hill 所属:獨協大学 |
第二言語習得 Second Language Acquisition |
The Development of Pragmatic Competence in the EFL Context (UMI) |
瀬戸 賢一 Kenichi Seto 所属:大阪市立大学 |
メタファー論?文体論 metaphor/rhetoric |
「文化と発想とレトリック」(研究社) 「メタファー思考」(講談社) |
岡田 伸夫 Nobuo Okada 所属:大阪大学 |
英語学?英語教育 English Linguistics |
「英語教育と英文法の接点」(美誠社) 「基礎からの英語」(美誠社) |
岡田 圭子 Keiko Okada 所属:獨協大学 |
英語教育 English Education |
Morpheme Acquisition and the Count/Mass Distinction of Nouns (OSU) |
実践報告者
中学校部門代表者 1名 | 高校部門代表者 1名 | その他(大学など)の部門代表者 1名 |