教員紹介
- 職名
- 非常勤講師(名誉教授)
- 所属
- 外国語学部英語学科
- 最終学歴
- 駒澤大学大学院博士課程後期満期退学
- 学位
- 文学修士
- 学位を授与した機関
- 法政大学大学院
- 専門分野
- アメリカ文学
- 研究室No.
- -
- 電話番号
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教員詳細
専門?研究テーマ
20世紀以降のアメリカ詩
授業方針
英語圏の文学作品を鏡にして、日本にいる「いま、ここ」の私たちをとらえ直し、新たなヴィジョンを考える。
自己紹介
自己紹介の詩
水の惑星
そしてぼくは知らないうち水の惑星へやって来た
太平洋の西の端の小さな島の
いちばん大きな平野の西の街
富士山がよく見える
多摩川のほとり
それはいまから65年前のある秋の日
水と付き合うようになったのは、小学校へ
あがるまえのこと
そう釣りを始めたんだ
大きくなるにつれ
出かける川は遠くなった
ロシアのカムチャッカ
アラスカのキナイ半島
カナディアン?ロッキー
イエローストーン国立公園やシエラネヴァダの山の中
ニュージーランドの北島と南島
オーストラリアのタスマニアへ
トラウトに会いたくて出かけてゆく
レインボー?トラウトやブラウン?トラウト
日本のヤマメ、そしてイワナから
生態系の脆さと逞しさを
おしえてもらった
終わりなき山河の山水画をみてきた
ある二月の夏の日、ニュージーランド北島
イースト?ケイプの人跡未踏の山岳渓流に
鹿狩りに使う小型ヘリで河原に着陸
川の流れと並行に沈んでいる
直径一メートルほどの倒木を縄張りにしている
オスのレインボー?トラウトがいた
ガイドがそいつを見つけた
ぼくは下流からストーキングしながら
一〇メートル、一時の方向にフライをキャスト
もう少し、右に五〇センチ
気づかれたかもしれない、そのまま、動くな
彼が定位置にもどって流れてくる水生昆虫を捕食しはじめた
こんどはぼくのフライは彼のフィーディング?レーンに
うまくのった
セット、とガイドが叫んだ
川底へ引きずり込まれるような引きだ
一〇分ほどのファイトの末、ようやく彼はガイドのネットに収まった
厳つい面構えのオスのレインボー?トラウト、六〇センチ
彼の脇腹には囓られたような傷跡があった
ガイドにたずねると、この川には一メートルをこえる
巨大ウナギがいるからそいつの仕業だろうと
数枚写真をとって、同じ流れに彼をリリースした
その次の夏、同じガイドと同じ川を訪れた
そしてあの歯形のレインボー?トラウトと再会したのだ
釣りは一期一会と思っていた、だからその脇腹の傷を見たとき
ぼくの身体を電流が走った
頭ではなく身体でわかったのは ぼくたちは
同じ流れに再び立つことはできないということ
自然のなかで人間はずっと
頼りない存在だった
火と言語を使いはじめたときから
他の仲間たちとは別の道を
歩みはじめた
たぶんバベルの塔はそのとき壊れたのだ
でも嘆くことはない
世界は水でつながっているのだから
2019/9/20
座右の銘?好きな言葉
”MAKE IT NEW.”
私の薦める一冊
『自選 谷川俊太郎詩集』(岩波文庫、2013年)
学生へのメッセージ
”Carpe diem”