獨協大学における研究活動の不正行為への対応に関する規程

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獨協大学における研究活動の不正行為への対応に関する規程

平成28年3月31日
制定

第1章 総則

(趣旨)
第1条 この規程は、獨協大学(以下「本学」という。)における研究活動上の不正行為の防止及び不正行為が生じた場合における適正な対応について必要な事項を定める。

(定義)
第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 研究活動上の不正行為
故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる、捏造、改ざん、盗用その他研究活動上の不適切な行為であって、科学者の行動規範及び社会通念に照らして研究者倫理からの逸脱の程度が甚だしいもの(以下「不正行為」という。)
(2) 研究者等
本学に雇用されて研究活動に従事している者又は本学の施設や設備を利用して研究に携わる者
(3) 研究に関わる部局
本学の各学部、各研究科、各研究所又は事務局
(4) 配分機関
本学に対して、文部科学省又は文部科学省が所管する独立行政法人から配分される競争的資金を中心とした公募型の研究資金の配分をする機関

(研究者等の責務)
第3条 研究者等は、不正行為その他の不適切な行為を行ってはならない。
2 研究者等は、次の各号に定める事項を遵守しなければならない。
(1) 研究活動の目的及び専攻分野の特性に応じて、研究活動に係る法令及び研究者倫理に関する研修(以下「研究倫理教育」という。)を受けること。
(2) 研究活動の正当性の証明手段を確保するとともに、第三者による検証可能性を担保するため、証拠となる生データ、実験又は観察ノート、実験試料及び試薬、書類その他の証拠となる資料(以下「証拠となる資料」という。)を一定期間適切に保存及び管理し、開示の必要性が認められる場合には、これを開示すること。
(3) 他の研究者等による不正行為の防止に努めること。

第2章 不正行為の防止等の体制

(最高管理責任者)
第4条 学長は、最高管理責任者として研究活動上の不正行為の防止及び不正行為が生じた場合における適正な対応(以下「不正行為の防止等」という。)について最終的な責任を負う。
2 最高管理責任者は、研究活動上の不正行為の防止のために研究倫理教育を実施して、研究者等の研究者倫理が向上するよう努めなければならない。
3 最高管理責任者は、発生した不正行為について公正で適切な問題解決に努めなければならない。

(統括管理責任者)
第5条 総合企画部長は、不正行為の防止等について統括管理責任者となる。
2 統括管理責任者は、前条に規定する最高管理責任者を補佐し、不正行為の防止等について、本学を統括する実質的な責任を負う。

(研究に関わる部局責任者)
第6条 研究に関わる部局の長は、当該研究に関わる部局における不正行為の防止等に関する責任者(以下「研究に関わる部局責任者」という。)となる。
2 研究に関わる部局責任者は、当該研究に関わる部局において研究倫理教育の実施を監督し、研究者倫理が向上するよう努めなければならない。

(研究倫理教育責任者)
第7条 研究に関わる部局責任者は、当該部局において研究倫理教育について実質的な責任と権限を持つ研究倫理教育責任者を定めなければならない。
2 研究倫理教育責任者は、当該研究に関わる部局に所属する研究者等に対して、当該研究に関わる部局責任者の指示に基づき研究倫理教育を定期的に実施しなければならない。

(研究倫理委員会の設置)
第8条 本学に、研究者等による不正行為の防止等のために、研究倫理委員会(以下「倫理委員会」という。)を置く。
2 倫理委員会は、統括管理責任者及びその他の委員で組織する。
3 倫理委員会の委員は、次の者がなる。
(1) 統括管理責任者
(2) 研究に関わる部局責任者
(3) 科学研究について専門知識を有する者 1名
(4) 科学研究における行動規範について専門知識を有する者 1名
(5) 法律の知識を有する外部有識者 1名
4 前項第3号ないし第5号の委員は、最高管理責任者が任命する。
5 第3項第3号ないし第5号の委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
6 第3項第3号ないし第5号の委員に欠員が生じたときの後任者の任期は、前任者の任期の残存期間とする。
7 統括管理責任者は、倫理委員会の委員長として倫理委員会の業務を統括する。
8 副委員長は、委員のうちから統括管理責任者の指名に基づき最高管理責任者が任命する。
9 副委員長は、統括管理責任者を補佐し、統括管理責任者が欠けたとき又は統括責任者に事故があるときは、統括責任者に代わりその委員会の職務を行う。

(倫理委員会の職務)
第9条 倫理委員会は、次の各号に掲げる事項を行う。
(1) 研究倫理教育の企画及び実施に関する事項
(2) 研究倫理についての国内外における情報の収集及び周知に関する事項
(3) 研究者等の不正行為の調査に関する事項
(4) その他研究倫理に関する事項

第3章 告発の受付

(告発窓口)
第10条 不正行為に関する告発(以下「告発」という。)又は相談への迅速かつ適切な対応を行うため、総務部総務課に告発窓口を置く。
2 総務課の職員は告発窓口において告発又は相談の窓口受付を行う告発窓口の職員となる。
3 告発窓口の職員は、自己との利害関係を持つ事案に関与してはならない。
4 告発窓口の責任者は、総務課長とする。

(告発の受付体制)
第11条 不正行為の疑いがあると思料する者は、書面、ファクシミリ、電子メール、電話その他の通信手段又は面談により、告発窓口に対して告発を行うことができる。
2 告発は、告発者の名前を明らかにして行われなければならない。
3 告発は、不正行為を行ったとする研究者の氏名又は研究グループの名称及び不正行為の態様その他事案の内容を明らかにして行わなければならない。
4 前項の告発は、不正とする合理的理由が示されていなければならない。
5 告発窓口の責任者は、第2項の規定に拘らず、匿名による告発について、必要と認める場合には、統括管理責任者と協議の上、匿名による告発を受け付けることができる。
6 告発窓口において告発を受け付けた者は、速やかに告発窓口の責任者を通じて、その内容を最高管理責任者及び統括管理責任者に報告するものとする。
7 最高管理責任者は、前項の報告を受けた場合で、その告発が本学に関係するときには、当該告発に関係する研究に関わる部局責任者に、その内容を通知するものとする。
8 最高管理責任者は、第6項の報告を受けた場合で、告発が本学以外の研究機関に関わるものであるときには、その告発の内容を当該研究機関に通知するものとする。
9 告発窓口は、第1項に掲げる告発が、書留郵便によらない書簡その他告発者にとって受領が不明な方法により受け付けられたときには、告発者に受け付けた旨を通知するものとする。ただし、告発が匿名のものであるときはこの限りでない。
10 インターネット、新聞、雑誌若しくはテレビの報道その他の伝達手段により又は研究者コミュニティにおいて不正行為の疑いが指摘された場合には、統括管理責任者は、その指摘を第5項に定める匿名の告発に準じて取り扱うことができる。ただし、第3項又は第4項に定める事項が示されていない場合にはこの限りでない。

(告発の相談)
第12条 不正行為の疑いがあると思料する者で、告発の是非や手続について疑問がある者は、告発窓口においてその旨を相談することができる。
2 告発窓口の責任者は、告発の意思を明示しない相談があったときには、相談者に対して告発の意思の有無を確認しなければならない。
3 告発窓口の責任者は、相談の内容が、不正行為が行われようとしていること又は不正行為を行うことを求められていることに関わるものであるときは、当該相談の内容を最高管理責任者及び統括管理責任者に報告するものとする。
4 第3項の報告があったときは、最高管理責任者は、その内容を確認し、相当の理由があると認めたときは、その報告内容に関係する者に対して警告を行うものとする。

(告発窓口の職員の義務)
第13条 告発窓口の職員は、告発の受付に当たって、告発者の氏名の秘匿その他告発者の保護を徹底しなければならない。
2 告発窓口の職員が、面談による方法で告発を受け付ける場合には、個室で受け付けるものとし、告発窓口の職員以外の者を同席させてはならない。
3 告発窓口の職員が、書面、ファクシミリ、電子メール、電話その他の通信手段により告発を受け付ける場合には、告発窓口の責任者の指示がある場合を除き、その内容を開示してはならない。
4 前3項の規定は、告発の相談についても準用する。

第4章 関係者の取扱い

(秘密保護義務)
第14条 この規程に定める業務に携わる本学の教職員は、当該業務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。本学の教職員でなくなった後も、同様とする。
2 最高管理責任者及び統括管理責任者は、告発者、被告発者、告発内容、調査内容及び調査経過に関する事項が、調査結果の公表に至るまで、告発者及び被告発者の意に反して外部に漏えいしないよう、これらの事項の秘匿を徹底しなければならない。
3 前項の規定に拘らず、最高管理責任者は、調査結果の公表前に当該告発に係る事案が外部に漏えいした場合は、告発者及び被告発者の了解を得て、告発者、被告発者、告発内容、調査内容及び調査経過について必要な範囲で公に説明することができる。ただし、告発者又は被告発者の責に帰すべき事由により漏えいしたときは、その者の了解は不要とする。
4 最高管理責任者及び統括管理責任者が、告発者、被告発者、調査協力者その他の関係者に連絡又は通知をするときは、告発者、被告発者、調査協力者その他の関係者の人権、名誉及びプライバシーを侵害することのないように、配慮しなければならない。最高管理責任者又は統括管理責任者の指示に基づき本学の教職員が連絡又は通知をするときも、同様とする。

(告発者の保護)
第15条 研究に関わる部局責任者は、告発をしたことを理由とする当該告発者の職場環境の悪化や差別待遇が起きないようにするために、適切な措置を講じなければならない。
2 本学の教職員は、告発をしたことを理由として、当該告発者に対して不利益な取扱いをしてはならない。
3 最高管理責任者は、獨協大学懲戒委員会規程その他関係諸規程に従って、前項の規定に違反して告発者に対して不利益な取扱いを行った者の懲戒を行うことができる。
4 最高管理責任者は、単に告発したことを理由に当該告発者の懲戒を行ってはならない。

(被告発者の保護)
第16条 本学の教職員は、相当な理由なしに、単に告発がなされたことのみをもって、当該被告発者に対して不利益な取扱いをしてはならない。
2 最高管理責任者は、獨協大学懲戒委員会規程その他関係諸規程に従って、前項の規定に違反して被告発者に対して不利益な取扱いを行った者の懲戒を行うことができる。
3 最高管理責任者は、単に告発がなされたことのみをもって、被告発者に対して研究活動の部分的又は全面的な禁止その他の不利益な取扱いをしてはならない。ただし、相当な理由があると認めるときにはその限りでない。

(悪意に基づく告発)
第17条 何人も、次に掲げる告発(以下「悪意に基づく告発」という。)を行ってはならない。
(1) 被告発者を陥れるため、被告発者が行う研究を妨害するためその他専ら被告発者に何らかの損害を与えることを目的とする告発
(2) 被告発者が所属する機関又は組織に不利益を与えることを目的とする告発
2 最高管理責任者は、本学においてなされた告発について第35条第8項に定める悪意に基づく告発である旨の公表をした場合には、当該告発者の氏名の公表、獨協大学懲戒委員会規程その他関係諸規程に従った懲戒、刑事告発その他必要な措置を講じることができる。
3 最高管理責任者は、前項の措置を講じたときは、該当する配分機関及び関係省庁に対して、その措置の内容を通知するものとする。

第5章 事案の調査

(予備調査の実施)
第18条 統括管理責任者は、第11条第1項に定める告発の受付があったとき、同条第10項に定める指摘があったとき又は本学以外の研究機関若しくは配分機関から本学に関係する告発についての通知があったときには、予備調査委員会を設置し速やかに予備調査を実施しなければならない。
2 予備調査委員会は、統括管理責任者が倫理委員会の審議に基づいて指名した3名の委員によって組織する。
3 予備調査の対象となる事案に利害関係を持つ者は、予備調査委員会の委員となることができない。
4 予備調査委員会は、予備調査の対象者に対して予備調査に必要な関係資料の提出を求めること又は関係者に対してヒアリングを行うことができる。
5 前項に定める資料の提出を求めるため又はヒアリングのための対象者又は関係者に対する通知は、予備調査委員会の依頼に基づき統括管理責任者が行う。

(予備調査の方法)
第19条 予備調査委員会は、告発された不正行為が行われた可能性、告発において示された不正とする合理的理由の論理性その他告発内容の合理性及び証拠となる資料の合理的な保存期間その他の事情による調査可能性について予備調査を行う。
2 告発がなされる前に発表を取下げた研究成果に対してなされた告発についての予備調査を行う場合は、前項に定める調査可能性に加え、取下げに至った経緯及び事情を含め、不正行為として調査すべきか否かをも調査し、本調査の要否に関する意見を予備調査結果に示さなければならない。

(本調査の決定等)
第20条 予備調査委員会は、予備調査の指示を受けた日から起算して30日以内に、予備調査結果を倫理委員会に報告するものとする。
2 前項の報告を受けた倫理委員会は、本調査を直ちに行うか否かを決定するものとする。
3 倫理委員会が、本調査を実施することを決定したときは、統括管理責任者はその旨を最高管理責任者に報告するものとする。
4 前項の報告を受けた最高管理責任者は、当該事案に係る配分機関及び関係省庁に、本調査を行う旨を報告するものとする。
5 第3項の報告を受けた最高管理責任者は、告発者及び被告発者に対して本調査を行う旨を通知し、本調査への協力を求めるものとする。
6 倫理委員会が、本調査を実施しないことを決定したときは、統括管理責任者はその理由を付して告発者に通知し、配分機関又は告発者の求めがあった場合にこれを開示することができるよう、第18条第4項で収集した関係資料を保存するものとする。
7 統括管理責任者は、前項の措置を最高管理責任者に報告するものとする。

(調査委員会の設置)
第21条 倫理委員会は、本調査を実施することを決定したときは、同時に、その議決により調査委員会を設置する。
2 調査委員会の委員は、告発者及び被告発者と直接の利害関係を有しない者でなければならない。
3 調査委員会の委員の過半数は、本学に属さない外部有識者でなければならない。
4 調査委員会は、次の各号に掲げる者により組織する。
(1) 統括管理責任者
(2) 倫理委員会の委員 1名
(3) 倫理委員会の審議を経て統括管理責任者が指名した有識者 2名
(4) 倫理委員会の審議を経て統括管理責任者が指名した法律の知識を有する外部有識者 1名
5 前項第2号ないし第4号の委員は、最高管理責任者が任命する。

(本調査の通知)
第22条 統括管理責任者は、倫理委員会が調査委員会を設置したときは、調査委員会委員の氏名及び所属を告発者及び被告発者に通知する。
2 前項の通知を受けた告発者又は被告発者は、当該通知を受けた日から起算して7日以内に、書面により倫理委員会に対して調査委員会委員に関する異議を申し立てることができる。
3 倫理委員会は、前項の異議申立があった場合は、当該異議申立の内容を審査し、理由があると認めるときは、当該異議申立に係る調査委員会委員を調査委員会から除くことを決定するものとする。
4 前項の決定があったときには、除かれた委員に代わる委員を最高管理責任者が任命する。
5 倫理委員会は、第2項の異議申立について理由がないと判断したときには、その旨を最高管理責任者に報告するものとする。
6 最高管理責任者は、前項の報告を受けたとき又は第4項の任命をしたときはその旨を、告発者及び被告発者に通知するものとする。

(本調査の実施)
第23条 調査委員会は、本調査の実施の決定があった日から起算して30日以内に、本調査を開始するものとする。
2 統括管理責任者は、告発者及び被告発者に対し、本調査の開始を通知するとともに、調査への協力を求めるものとする。
3 調査委員会は、告発において指摘された当該研究に係る発表された研究成果及び証拠となる資料の精査、関係者のヒアリングその他の方法により、本調査を行うものとする。
4 調査委員会は、被告発者による弁明の機会を与えなければならない。
5 調査委員会は、被告発者に対し、再実験その他の方法によって再現性を示すことを求める場合又は被告発者からなされた再実験その他の方法による再現の申し出に必要性があると調査委員会が認める場合には、再実験に要する期間及び機会並びに機器の使用を保障するものとする。
6 告発者、被告発者及びその他の当該告発に係る事案に関係する者は、調査が円滑に実施できるよう積極的に協力し、真実を忠実に述べるほか、調査委員会の本調査に誠実に協力しなければならない。

(本調査の対象)
第24条 調査委員会は、告発された事案に係る研究活動に加えて、本調査に関連した他の被告発者の研究活動を本調査の対象に含めることができる。

(証拠の保全)
第25条 調査委員会は、本調査を実施するに当たって、告発された事案に係る研究活動に関して、証拠となる資料を保全する措置をとるものとする。
2 告発された事案に係る研究活動が行われた研究機関が本学でないときは、調査委員会は、告発された事案に係る研究活動に関して、証拠となる資料を保全する措置をとるよう、当該研究機関に依頼するものとする。
3 調査委員会は、前2項の措置に必要な場合を除き、被告発者の研究活動を制限してはならない。

(本調査の中間報告)
第26条 最高管理責任者は、本調査の終了前であっても、告発された事案に係る配分機関から中間報告を求められたときには、これを提出するものとする。

(調査における研究又は技術上の情報の保護)
第27条 調査委員会は、本調査に当たっては、調査対象に関する公表前のデータ、発表された研究成果その他の研究成果に関する研究上又は技術上秘密とすべき情報が、調査の遂行上必要な範囲を超えて漏えいすることのないよう、十分配慮しなければならない。

(不正行為の疑惑への説明責任)
第28条 被告発者が、調査委員会の本調査において、告発された事案に係る研究活動に関する疑惑を晴らそうとする場合には、科学的根拠を示して次の事項を説明しなければならない。
(1) 自己の責任において、当該研究活動が科学的に適正な方法及び手続に則って行われたこと。
(2) 研究成果の発表は、前号に定める適正な方法及び手続に基づいて適切な表現でなされたものであること。
2 前項の説明のために、再実験その他の方法による再現を必要とする場合には、第23条第5項に定める保障を与えなければならない。

第6章 不正行為及び悪意に基づく告発の認定

(認定の手続)
第29条 調査委員会は、本調査を開始した日から起算して150日以内に不正行為が行われたか否かについて調査し、その結果を倫理委員会に報告しなければならない。ただし、150日以内に報告を行うことができない合理的な理由がある場合には、その理由及び報告の予定日を付して最高管理責任者に申し出て、その承認を得るものとする。
2 倫理委員会は、前項の調査結果の報告に基づき不正行為があったと認定する場合には、その内容及び悪質性、不正行為に関与した者とその関与の度合並びに不正行為があったと認定された研究に係る発表された研究成果の各発表者の当該発表及び研究における役割を認定するものとする。
3 倫理委員会は、第1項の調査結果の報告に基づき不正行為がなかったと認定する場合において、告発が悪意に基づく告発であると判断したときは、その旨の認定をも行うものとする。
4 前項の認定を行うに当たっては、告発者に弁明の機会を与えなければならない。
5 倫理委員会は、第2項又は第3項に定める認定を行ったときは、直ちに、その内容を別表を用いて最高管理責任者に報告しなければならない。

(認定の方法)
第30条 倫理委員会は、告発者から説明を受けるとともに、調査によって得られた、科学的証拠、物的証拠、証言、被告発者の自認その他の諸証拠を総合的に判断して、不正行為があったか否かの認定を行うものとする。
2 倫理委員会は、被告発者による自認を唯一の証拠として不正行為を認定することができない。
3 倫理委員会は、調査委員会の調査によって得られた被告発者の説明及びその他の証拠によって、不正行為があったことの疑いを覆すことができないときは、不正行為があったと認定することができる。保存義務期間の範囲に属する証拠となる資料の不存在又は本来存在するべき基本的な証拠となる資料の一部が欠けていることにより、不正行為があったとの疑いを覆すに足る証拠を被告発者が示せないときも、同様とする。

(調査結果の通知及び報告)
第31条 第29条第5項に基づく報告があったときは、最高管理責任者は、速やかにその内容を次に掲げる者又は機関に通知するものとする。
(1) 告発者
(2) 被告発者
(3) 被告発者以外で当該不正行為に関与したと認定された者
(4) 被告発者が本学以外の機関に所属している場合の当該所属機関
(5) 悪意に基づく告発であるとの認定があった場合において、告発者が本学以外の機関に所属しているときは、当該所属機関
(6) 当該事案に係る配分機関及び関係省庁

(不服申立)
第32条 不正行為があったと認定された被告発者又は被告発者以外で当該不正行為に関与したと認定された者は、前条又は第33条第9項に定める通知を受けた日から起算して14日以内に限り、理由を付して倫理委員会に対して不服申立をすることができる。ただし、その期間内であっても、同一理由による不服申立をくり返すことは出来ない。
2 被告発者又は被告発者以外で当該不正行為に関与したと認定された者が、故意又は過失によって、第31条又は第33条第9項に定める通知を受けることができないときには、通知を発した日から起算して5日後に通知を受けたものとみなす。
3 倫理委員会は、第1項の不服申立の趣旨及び理由を勘案して、再調査の要否を決定し、その結果を最高管理責任者に報告するものとする。
4 倫理委員会は、再調査を要すると決定した場合で、新たに専門性を要する判断が必要であると認めるときは、前項に定める決定に加え調査委員会の委員の交代若しくは追加の要否又は調査委員会に代えて他の者に再調査をさせる必要があるか否かを決定し、その結果を最高管理責任者に報告しなければならない。
5 前項に定める調査委員会に代えて審査する他の者は、次条に定める再審査については調査委員会とみなす。
6 第4項に定める新たな調査委員会の委員又は前項に定める者は、第21条第2項及び同条第3項に準じて最高管理責任者が任命する。
7 倫理委員会は、当該事案の再調査を行うまでもなく、不服申立を却下すべきものと判断したときは、直ちにその旨を最高管理責任者に報告するものとする。
8 不服申立が当該事案の引き延ばしや認定に伴う各措置の先送りを主な目的とするものと倫理委員会が認めた場合で、以後の不服申立を受付けないと判断したときは、その旨を最高管理責任者に報告する。
9 最高管理責任者は、被告発者及び被告発者以外で当該不正行為に関与したと認定された者に対して、第3項に定める再調査の要否の決定に関する報告又は前2項に定める報告の内容を通知するものとする。
10 最高管理責任者は、第1項に定める不服申立があったとき並びに第3項、第7項又は第8項に定める報告があったときはその内容を、告発者並びに配分機関及び関係省庁に通知するものとする。

(再調査)
第33条 前条第1項に基づく不服申立について、前条第3項に定める決定が再調査を実施する旨のものであった場合には、第21条に定める調査委員会が再調査をも行う。
2 統括管理責任者は、不服申立人に対し、先の調査結果を覆すに足るものと不服申立人が思料する資料の提出を求めることその他当該事案の速やかな解決に向けて再調査に協力することを求めるものとする。
3 前項に定める不服申立人からの協力が得られない場合には、調査委員会は、再調査を行うことなく手続を打ち切るべきであることを倫理委員会に報告するものとする。
4 前項の報告を受けた倫理委員会は、手続打ち切りの決定をして、その旨を最高管理責任者に報告するものとする。
5 調査委員会は、再調査を開始した場合には、その開始の日から起算して50日以内に、先の認定結果を覆すか否かを調査し、その結果を倫理委員会に報告しなければならない。
ただし、50日以内に先の認定結果を覆すか否かの決定ができない合理的な理由がある場合には、その理由及び報告予定日を付して最高管理責任者に申し出て、その承認を得るものとする。
6 倫理委員会は、前項の調査結果の報告に基づき、先の認定結果を覆すか否かを決定し、最高管理責任者に報告するものとする。
7 倫理委員会は、先の認定結果を覆すときには、告発が悪意に基づく告発であったか否かの認定をも行い、その結果を直ちに最高管理責任者に別表を用いて報告するものとする。
8 倫理委員会は、先の認定結果を覆さないときには、その結果を最高管理責任者に別表を用いて報告するものとする。
9 最高管理責任者は、第3項又は前2項の報告に基づき、再調査手続の結果を次の者又は機関に速やかに通知するものとする。
(1) 不服を申立てた者
(2) 告発者
(3) 不服を申立てた者以外の被告発者
(4) 被告発者以外で不正行為に関与したと認定された者のうち、不服を申立てた者以外の者
(5) 第1号、第3号又は第4号に掲げる者が本学以外の機関に所属している場合の、当該所属機関
(6) 悪意に基づく告発との認定があった場合において、告発者が本学以外の機関に所属しているときは、当該所属機関
(7) 当該事案に係る配分機関及び関係省庁

(告発が悪意に基づくものと認定された告発者の不服申立)
第34条 第29条第3項又は第33条第7項に定める告発が悪意に基づくものと認定された告発者は、第31条又は第33条第9項に定める通知を受けた日から起算して14日に限り、理由を付して調査委員会に対して不服申立をすることができる。ただし、その期間内であっても、同一理由による不服申立をくり返すことは出来ない。
2 告発者が故意又は過失によって、第31条又は第33条9項に定める通知を受けることができないときには、通知を発した日から起算して5日後に通知を受けたものとみなす。
3 倫理委員会は、前項に定める不服申立があったときには、告発が第17条第1項に定める悪意に基づく告発であったか否かを再認定し、その結果を直ちに最高管理責任者に報告するものとする。
4 前項の再認定のために必要な調査は、調査委員会が行う。
5 最高管理責任者は、第3項の報告に基づき、再認定手続の結果を次の者又は機関に速やかに通知するものとする。
(1) 不服を申立てた者
(2) 不服を申立てた者以外の告発者
(3) 告発者が本学以外の機関に所属しているときは、当該所属機関
(4) 被告発者
(5) 被告発者以外で不正行為に関与したと認定された者
(6) 第4号又は第5号に掲げる者が本学以外の機関に所属している場合の、当該所属機関
(7) 当該事案に係る配分機関及び関係省庁

(調査結果の公表)
第35条 最高管理責任者は、第29条第5項又は第33条第7項若しくは第8項に定める報告が、不正行為があった旨の報告であったときは、その調査結果を公表するものとする。ただし、第32条第1項に基づく不服申立があったときはこの限りでない。
2 最高管理責任者は、第29条第5項又は第33条第7項若しくは第8項に定める報告が、不正行為がなかった旨の報告であったときは、その調査の結果を公表することができる。ただし、告発が悪意に基づく告発であると認定された場合で、当該告発者が第34条第1項に基づく不服申立をしたときには、その調査の結果を公表することができない。
3 最高管理責任者は、前項の規定に拘らず、次に掲げる場合には、調査結果を公表しなければならない。
(1) 被告発者の名誉を回復する必要があると認められるとき
(2) 調査結果の公表前に調査事案が外部に漏えいしていたとき
(3) 発表された研究成果に故意によるものでない誤り又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによるものでない誤りがあったとき
4 第1項の公表は、別表に定める事項を含めなければならない。
5 第2項に定める公表をする場合には、別表に定める事項で必要な事項を含めるものとする。
6 第3項各号に基づく公表は、別表に定める事項で必要な事項を含めるものとする。
7 不正行為があったと認定された研究成果の発表が、告発がなされる前に取り下げられていたときは、当該不正行為に関与した者については別表の3(2)①に掲げる事項を公表しないことができる。
8 最高管理責任者は、第29条第5項又は第33条第7項に定める報告が、当該告発が悪意に基づく告発である旨のものであったときには、告発者の氏名及び所属、悪意に基づく告発と認定した理由、調査委員会委員の氏名及び所属、調査の方法並びに手順を公表するものとする。ただし、告発が悪意に基づく告発と認定された場合で、当該告発者が第34条第1項に基づく、不服申立をしたときには、その調査の結果を公表することができない。

第7章 措置及び懲戒

(本調査中における一時的措置)
第36条 最高管理責任者は、倫理委員会が第20条第2項に定める本調査を行うことを決定した時又は第32条第3項に定める再調査を必要と決定した時から倫理委員会の認定結果又は再認定結果の報告を受ける時までの間、告発された被告発者に対する研究費の支出停止、その他必要な一時的措置を講じることができる。
2 最高管理責任者は、配分機関から、被告発者の該当する研究費の執行停止その他の指示を受けた場合には、それに応じた一時的な措置を講じるものとする。

(措置の解除等)
第37条 最高管理責任者は、第29条第5項又は第33条第7項若しくは第8項に基づき、不正行為がなかった旨の報告受けたときは、前条第1項に定める措置を解除するものとする。
2 第35条第1項に基づき調査結果を公表した場合には第25条に基づきした証拠保全の措置について、速やかに解除するものとする。
3 最高管理責任者は、不正行為を行わなかったと認定されたものの名誉を回復する措置及び不利益が生じないための措置を講じるものとする。

(研究費の使用中止)
第38条 最高管理責任者は、不正行為に関与したと認定された者、不正行為があったと認定された研究に係る発表された研究成果の内容に重大な責任を負う者として認定された者及び研究費の全部又は一部について使用上の責任を負う者として認定された者(以下「被認定者」という。)に対して、直ちに研究費の使用中止を命じるものとする。

(発表された研究成果の取下げ等の勧告)
第39条 最高管理責任者は、被認定者に対して、不正行為があったと認定された発表された研究成果の取下げ、訂正又はその他の是正を勧告するものとする。
2 被認定者は、前項の勧告を受けた日から起算して14日以内に勧告に応ずるか否かの意思を最高管理責任者に表示しなければならない。
3 最高管理責任者は、被認定者が第1項の勧告に応じない場合は、その事実を公表するものとする。

(懲戒)
第40条 第35条第1項に定める公表を行った場合における不正行為を行った者の懲戒は、獨協大学懲戒委員会規程その他関係諸規程に基づき行うものとする。
2 最高管理責任者は、前項の懲戒が行われたときは、該当する配分機関及び関係省庁に対して、その懲戒の内容を通知するものとする。

(是正措置等)
第41条 倫理委員会は、第35条第1項に定める公表を行った場合には、最高管理責任者に対し、速やかに是正計画、再発防止計画、その他必要な環境整備計画(以下「是正計画等」という。)を提案するものとする。
2 最高管理責任者は、前項の提案に基づき、関係する研究に関わる部局責任者に対し、是正計画等を実施することを命ずるものとする。
3 最高管理責任者は、第2項に定める是正計画等の内容を該当する配分機関並びに文部科学省及びその他の関係省庁に対して別表を用いて報告するものとする。

第8章 雑則

(事務所管)

第42条 この規程に関する事務は、総合企画部総合企画課が所管する。

(規程の改廃)

第43条 この規程の改廃は、全学教授会の審議を経て、学長が行なう。
附 則(平成27年規程第 号)
この規程は、平成28年3月31日から施行する。

別表 調査結果の報告書に盛り込むべき事項

1.経緯?概要

(1) 発覚の時期及び契機( ※「告発」の場合はその内容?時期等)
(2) 調査に至った経緯等

2.調査

(1) 調査体制(※調査機関に属さない外部有識者を含む調査委員会の設置)
(2) 調査内容
① 調査期間
② 調査対象(※対象者、対象研究活動、対象経費〔競争的資金等、基盤的経費〕)
③ 調査方法?手順(例:書面調査〔当該研究活動に係る論文や実験?観察ノート、生データ等の各
種資料の精査等〕、関係者のヒアリング、再実験を行った場合は、その内容及び結果等)
④ 調査委員会の構成(氏名?所属を含む。)、開催日時?内容等

3.調査の結果( 特定不正行為の内容)

(1) 認定の対象となった特定不正行為の種別及びその有無(例:捏造、改ざん、盗用)
(2) 特定不正行為に係る研究者( ※ 共謀者を含む。)
① 特定不正行為に関与したと認定した研究者(氏名(所属?職(※現職))、研究者番号)
② 特定不正行為があったと認定した研究に係る論文等の内容について責任を負う者として認定した研究者(氏名(所属?職(※現職))、研究者番号)
(3)特定不正行為が行われた経費?研究課題
① 競争的資金等
a.制度名
b.研究種目名、研究課題名、研究期間
c.交付決定額又は委託契約額
d.研究代表者氏名(所属?職( ※現職))、研究者番号
e.研究分担者及び連携研究者氏名(所属?職(※現職))
② 基盤的経費
a.運営費交付金
b.私学助成金
(4)特定不正行為の具体的な内容(※可能な限り詳細に記載すること)
① 手法
② 内容
③ 特定不正行為と認定した研究活動に対して支出された競争的資金等又は基盤的経費の額及びその使途
(5) 調査を踏まえた機関としての結論と判断理由

4.調査機関がこれまで行った措置の内容

(例)競争的資金等の執行停止等の措置、関係者の処分、論文等の取下げ勧告等

5.特定不正行為の発生要因と再発防止策(是正計画等)

(1) 発生要因(不正が行われた当時の研究機関の管理体制、必要な規程の整備状況を含む。)( ※可能な限り詳細に記載すること)
(2) 再発防止策(是正計画等)
① 是正計画
② 再発防止計画
③ 環境整備計画