設立趣旨
獨協大学は「大学運営の基本理念」(2004年4月1日)において、本学が地域社会の発展に貢献し、対外的プレゼンスを高め、地元の人に支持される大学でなければならない、とうたっている。このことは地方分権の時代を迎え、大学が地域の一つのセンターとして、地方からあるいは地域から発想し、行動することがこれまで以上に求められていることを示している。しかし他方、「地方分権」、「地方の時代」と言われてから久しいが、必ずしもその実態、内容は明らかとなっていない。この間、高齢化社会、情報化社会、グローバル化等々の急激な進展は、地域が自らの手によって克服しなければならない様々な問題を提起している。この意味で、大学には教育機関としての役割のみならず、情報の収集?発信、地域のアドヴァイザーとしての役割を果たすことが求められている。また、大学は行政、NPO?NGO、企業、市民団体などの広場となりうる可能性を秘めている。とりわけ、北関東地域において唯一といってよい法学部を含む社会科学系、人文科学系の学部を擁する大学として、本学に寄せられる期待は高い。さらに、本学がもつ国際分野における研究教育の蓄積は、国際的視野に立ちつつ、地域から行動するという、これからの地方のあり方に十分対応できる力をもっていると思われる。
「獨協大学地域総合研究所」は、埼玉県内最大規模の大学に設置される研究機関として、このような時代の要請にこたえるべく、地域が抱える諸問題の解決に向けて調査?研究を進め、社会や大学教育においてその成果を還元していこうとするものである。グローバルな動きが直接ローカルにインパクトを与えている今、"think globally, act locally"から地域において"think globally, act globally"へと、時代の要請は進化しつつある。この点、獨協大学がこれまで培ってきた学問的蓄積、抱える知的資源には大きいものがある。対象地域としては、草加市を含む埼玉県東部地域のみならず、埼玉全県を中心とする北関東、東京都足立区など東京北東部および千葉県などが考えられる。そのために茨城大学の地域総合研究所、群馬県の高崎経済大学地域政策学部、その他地方銀行のシンクタンクなどとのネットワーキングをはかり、当面埼玉県、東京北東部をターゲットとして活動を開始する。
同時に、本研究所は(1)地域への研究調査の成果や政策?アイデアを提供するセンターとして、(2)大学内における共同研究の推進と、教育への還元を図り?相互強化の場として、そして(3)研究資金への外部資金の受け皿として、それぞれの機能を十全に果たさんとするものである。