2024年度担当教員紹介
担当教員紹介
教授 一之瀬 高博 | 教員紹介 | 研究業績 |
専攻分野 環境法 | |
環境法のうち、とりわけ国際環境法が主要な研究領域となっている。現在の主たる関心は、国際環境損害の防止を目的とする手続法規、すなわち、国家の通報協議義務、およびその延長上に位置づけられる環境影響評価の法構造にある。このような手続法規は、実体法規としての環境損害防止義務と並行して発展してきた経緯があり、この両者の関係に興味を覚えている。また、このような手続法規の内容を実際に実施するために必要な国際法および国内法レベルの法制度のしくみについても分析を進めてゆきたい。 |
教授 大川 俊 | 教員紹介 | 研究業績 |
専攻分野 商法、会社法 | |
専門は商法?会社法で、企業不祥事防止のための適正なコーポレート?ガバナンスのあり方に関する研究を行っています。その一環として、最近は、代表取締役等の業務執行者が不適切な業務執行を行った場合、社外取締役等の非業務執行者がそれをどこまで監視?監督していればこれを防止できたかという点を研究しています。アメリカ会社法におけるCaremark事件(1996年)をリーディング?ケースとする取締役の監視義務(directors' duty to monitor)に関する一連の裁判例を素材に、わが法への有益な示唆を得ることが当面の課題です。 |
教授 大谷 基道 | 教員紹介 | 研究業績 |
専攻分野 行政学、地方自治論 | |
行政学、特に地方行政を専門としており、地方自治体の人事?組織、行政改革、国と地方の関係などが主な研究テーマである。近年は、中央官僚の地方出向人事から見た国と地方の関係の変化、国と道府県の結節点である道府県東京事務所の活動、地方自治体における多様な人材(女性、高齢者、中途採用者等)の活用、地方公務員採用試験の変化とその影響、などの研究に力を注いでいる。 近年の主な著作として、『東京事務所の政治学』(単著、勁草書房、2019年)、『現代日本の公務員人事』(共編著、第一法規、2019年)、『職員減少時代の自治体人事戦略』(共著、ぎょうせい、2021年)、『東日本大震災大規模調査から読み解く災害対応』(共著、第一法規、2018年)、『Civil Service Systems in East and Southeast Asia』(分担執筆、Routledge、2022年)、『行政学』(分担執筆、文眞堂、2021年)、『テキストブック地方自治[第3版]』(分担執筆、東洋経済新報社、2021年)、などがある。 |
教授 大藤 紀子 | 教員紹介 | 研究業績 |
専攻分野 憲法、EU法 | |
フランス革命期の立法概念の研究を始め、フランス憲法学における立憲主義の発展史を踏まえ、現代のフランス憲法学の研究に取り組んでいる。また1980年末~90年初めにフランスに在留し、欧州連合設立条約の批准がフランス公法学に及ぼした影響を目の当たりにして以来、国内法体系におけるEU法?国際法の位置づけについて研究を続けている。具体的には、複雑性を前提とする現代の法のあり方について、EU法(独自の法体系)、フランス法、日本法(公法)の各法現象を通してどのように分析?表出できるかを、主たる研究対象とする。最近においては、自由、平等のほか、宗教、「安全」(テロ対策)、「平和」などの諸概念の機能的な把握について考察。またEUと各構成国の法的関係を前提に、特に人の自由移動、移民、難民庇護、警察?刑事司法協力の領域に関心をもつ。長期的には民主主義?人権保障(社会権を含む)?地方自治の各論点の再検討を行いたい。 |
教授 岡垣 知子 | 教員紹介 | 研究業績 |
専攻分野 国際政治学 | |
専門は国際政治学。国際政治理論と国際政治思想を中心に、主権国家概念の変遷、国際社会における制度?ルール?規範の生成と変化に特に関心を持っている。近年手がけた研究テーマとしては、ヨーロッパとアジアの地域統合の比較、19世紀末における日本の国際社会参入(The Logic of Conformity: Japan's Entry into International Societyとしてトロント大学出版会から2013年に刊行)、グローバリゼーションとアメリカの覇権、国家の社会化などがある。日本の国際政治学において長年理解されてこなかったケネス?ウォルツの古典Theory of International Politics (『国際政治の理論』勁草書房、2010年)、Man, the State, and War: A Theoretical Analysis (『人間、国家、戦争』勁草書房, 2013年)を翻訳。 |
教授 岡田 順太 | 教員紹介 | 研究業績 |
専攻分野 憲法、立法学 | |
専門は憲法学で、特にアメリカの判例理論などを参照しつつ結社の自由に関する研究を続けています。憲法は、近代社会の根幹を成す個人主義を基本原理としていますが、個人と個人を結ぶ関係性を理論的に消化し切れていないというのが問題意識となっています。この点についての研究成果は、『関係性の憲法理論』(丸善プラネット、2015年)としてまとめていますが、現在はその理論的応用可能性を探究しています。 もう一つの関心領域は、議会主義の復権です。憲法学の視点から、議員や議会のあるべき姿を示しつつ、立法権を中核に据えた国家統治の学問体系を構築できるよう、学際的研究を含めた取組みを行っています。 |
教授 小川 健 | 教員紹介 | 研究業績 |
専攻分野 民事訴訟法、民事手続 | |
民事手続に関連して、現在特に仲裁と司法制度に関心を持っています。民事手続というと、国の(主にわが国の)民事判決手続を思い浮かべるのが従来は一般的でした。確かに純粋に国内的な関係についてみれば「最終的な紛争解決の拠り所」としての「司法機関(国家裁判所)」の地位は今後も大きく変わることがないものと思われます。しかし、わが国が置かれている国際的な環境が変化し、社会が国に期待する役割も変化してきていることを考えると、私達は、わが国が設営する司法機関の手続だけではなく、外国国家や私人が設営する多様な手続全体を見わたして種々の問題を考えなければならなくなって来ているように感じます。 これらの手続全体についての統合的な視点を得るために、仲裁と司法制度を中心として様々な問題の検討を試みているつもりです。 |
教授 木藤 茂 | 教員紹介 | 研究業績 |
専攻分野 行政法 | |
研究対象は行政法で、行政法総論や行政組織法の分野を中心に研究をしてきていますが、個人的な関心の淵源は、むしろ憲法学と行政法学の双方に跨る領域にあるとも言えます。 |
准教授 作内 由子 | 教員紹介 | 研究業績 |
専攻分野 比較政治、西洋政治史 | |
ヨーロッパの政党政治、特にオランダを主たる専門としています。歴史的には近代以降、政党システムがいかにして発生してきたか、宗教(政治的カトリシズム)がいかなる形で政党政治にかかわってきたか、などをテーマに研究してきました。議会制が、もともと体制的とは言えない勢力を政党を媒介として実質的に体制化していくダイナミズムに興味があります。 現代比較政治に関して目下関心を持っているのは、①経済政策の策定における経済専門家と政党(システム)の役割②左右のポピュリズムについてです。両者はあまり関係がないようですが、「専門性」もポピュリズムも、往々にして党派対立を忌避し一つの正しい答えやリーダーを志向しがちである点が共通しています。これらと政党政治とがどのように現代の議会制民主主義を支え/掘り崩しているかというところに着目をしています。 |
教授 神馬 幸一 | 教員紹介 | 研究業績 |
専攻分野 刑事法、医事法、生命倫理 | |
刑事法(犯罪と刑罰に関する法律)と医事法(医学研究?臨床医療に関する法律)が交錯する分野の研究(いわゆる「医事刑法」と呼ばれる学際的領域)に取り組んでいる。 より具体的に述べるならば、医事紛争に関連する判例を素材に、法的因果関係論(誰に問責するべきかを客観的に決定するための根拠論)、被害者の同意により法益(法により守られるべき生活上の利益)が処分可能とされる条件は何かという問題、過失責任論といった理論的な問題の研究に加えて、更には、医療情報保護、生殖補助技術、臓器移植医療、終末期医療、先端医学研究の法的規制といった政策論的な応用問題にも取り組んでいる。 |
教授 鈴木 淳一 | 教員紹介| 研究業績 |
専攻分野 国際法 | |
国際法について研究をしているが、特に個人の国際法上の地位に関する理論的分析と、個人から構成される国際社会の秩序構築の可能性を主要なテーマとしている。従来国際法は国家間の関係を規律する法であるとする伝統的国際法観が有力であった。これに対して、個人を規律する規範の観点から、新しい国際法の可能性を探りたい。具体的には、個人を規律する武力紛争法や国際人道法、NGOの法的地位等について実証的な分析を行ってきた。最近は個人を規律する多様な規範の観点から、ユネスコで制定された文化多様性条約の研究やWHOの国際保健規則(IHR)等の研究も行っている。他方で、国際法と国内法の関係、非拘束的規範(ソフト?ロー)、フィリップ?アロット研究等の理論的研究も行っている。 |
教授 関根 徹 | 教員紹介| 研究業績 |
専攻分野 刑法 | |
専門は刑法です。刑法を勉強すると、総論から各論へというように演繹的に問題を考えることが多いですが、その反対の流れで考えています。つまり、刑法総論の各論的な問題を考えて、それらの共通点を見出して、そこから違法論や犯罪論という総論的な問題を考えるということを研究しています。研究対象は様々なものがありますが、現在は、偶然防衛、防衛行為と第三者や不確定故意のうちの択一的故意の事例を題材に検討し、錯誤論における具体的符合説の妥当性や人的違法論を基礎にした犯罪論の妥当性を考えています。もともと各論的な問題から総論へという考え方が強かったのですが、以前所属していた法科大学院で教えていた時にそうした思考がさらに強まりました。授業では、それを生かすように心がけています。 |
教授 宗田 貴行 | 教員紹介| 研究業績 |
専攻分野 国際経済法、経済法、消費者法 | |
主に、消費者法分野および独占禁止法分野の執行実現(エンフォースメント)の研究を行っている。ドイツにおける消費者団体訴訟制度の研究で法学博士の学位を取得。日米欧の迷惑メールに対する法的規制の研究で電気通信普及財団テレコム社会科学賞奨励賞(平成17年第21回)を受賞。公正取引委員会、経済産業省、内閣府、消費者庁の調査委員?研究会委員等としても活動。主に、独占禁止法上の搾取的濫用行為に係る多数消費者被害回復手法の研究で、公正取引協会横田正俊賞(2024欧洲杯投注官网_沙巴博彩公司-官网平台元年度第35回)を受賞。 主な業績は、単著『消費者法の新展開』慶應義塾大学出版会2009年、単著『独禁法民事訴訟』レクシスネクシス?ジャパン2008年、単著『団体訴訟の新展開』慶應義塾大学出版会2006年、単著『迷惑メール規制法概説』レクシスネクシス?ジャパン2006年、単著『消費者団体訴訟の理論』信山社2021年、単著『行政処分による消費者被害回復の理論ーEUデジタルプラットフォーム規制の考察と我が国の課題』法律文化社2023年。 |
教授 高橋 均 | 教員紹介| 研究業績 |
専攻分野 商法?会社法 | |
博士学位は米?英?独?仏の比較法的視点を踏まえて、わが国の株主代表訴訟制度の課題と立法措置に関するテーマで取得しました。その後、会社役員の法的責任、取締役会改革をはじめとした会社機関設計、企業集団の内部統制システムなどに研究領域を拡げています。 会社役員の法的責任については、不祥事事案のみならず、ESG対応等今日的テーマとの関係、会社機関設計では、伝統的な監査役設置会社形態と委員会型会社形態との制度比較?検討、企業集団の内部統制システムでは、海外子会社を含めたグループガバナンスの課題と方向性に特に関心があります。また、近時、その影響力を強めているコーポレートガバナンス?コードなどのソフト?ローのあり方についても検討に加えています。 研究姿勢として、会社を巡る様々な事象に対して、法理論(学説?裁判規範)と実務の双方からのアプローチを実践するようにしています。 |
教授 張 睿暎 | 教員紹介| 研究業績 |
専攻分野 知的財産法 | |
知的財産法について研究している。技術発展が知的財産法法制にもたらす影響に興味を持っており、そのため、欧米だけでなくアジアを含む世界の技術動向と法制を対象とする。 著作物利用者の権利問題、インターネット上のユーザによる知的財産侵害に対するプロバイダ(ISP)の責任制限問題、インターネット上の違法?有害情報に対するサイトブロッキング問題、諸外国との経済連携協定(EPA/FTA/TPP)における知的財産権のプラス保護問題に関する多数の論考があり、最近は人工知能(AI)やビッグデータにまつわる知的財産問題、デジタルコンテンツ流通や知的財産管理のためのブロックチェーンの活用に注目している。 |
教授 德永 光 | 教員紹介| 研究業績 |
専攻分野 刑事訴訟法 | |
専門は刑事訴訟法で、特に、刑事裁判における科学的証拠の利用の在り方に関心を持って研究しています。裁判においても科学的知見を活用すべきではあるものの、信頼性に問題のある科学的証拠を過大評価した結果、誤った有罪判決が下された例は少なくありません。科学的証拠は、虚偽自白や誤った目撃供述と並ぶ冤罪原因の一つに挙げられています。この問題をいかに改善すべきかという観点から、主に科学的証拠の証拠能力基準について検討を続けています(DNA鑑定や形態比較鑑定、法医学?医学鑑定、心理学鑑定など様々な領域を対象としています)。また、日本の鑑定制度の運用については、当事者対等原則に適っているとはいい難い現状があり、鑑定制度自体の改革を提言できればと考えています。近年は、再審制度改革、証拠保存の立法化、事実認定の問題にも関心を広げています。 |
教授 納屋 雅城 | 教員紹介 | 研究業績 |
専攻分野 民法(財産法) | |
法人や民法上の組合、権利能力なき社団等の、いわゆる法人法?団体法を主な研究対象としている。「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」をはじめとした公益法人関連三法の制定?施行と、それに伴なう民法の法人に関する諸規定の大幅な削除?改正により、民法における法人法は大きな改変を受けたにもかかわらず、その後の法人法の展望は、いまだ明確には示されていない状況にある。このような現状を踏まえて、従来の法人法?団体法研究においては比較的軽視されがちであったフランス法から示唆を得るという手法によって、今後の法人法のあるべき姿について研究を続けている。 |
教授 藤田 貴宏 | 教員紹介 | 研究業績 |
専攻分野 民法 | |
民法学の理論史と方法論を主要な研究領域としている。民法の解釈適用を単なる実務ではなく学問として存立させている要因は何かという問題意識の下、両研究を結びつけることが目下の課題である。具体的には、17世紀のヨーロッパにおける普通法(ローマ法、カノン法)と固有法(王令、成文慣習法、ラント法、都市条例等)の連関、並びに、法学それ自身の重層性(現代的慣用、人文主義、自然法)を参照枠としつつ、民法上の様々な概念や制度の生成運用の過程を歴史的事実として再構成し、そこから民法学の存立条件及び方法的特質を析出する作業に取り組んでいる。 |
准教授 安原 陽平 | 教員紹介 | 研究業績 |
専攻分野 教育法 | |
研究対象は、教育法です。とくに、教師の自由や専門性に関心を持っています。これまで取り組んできた研究として、教師と政治的自由、教師と全体の奉仕者性などを挙げることができます。また、教育制度に関係するテーマも扱っています。たとえば、道徳の教科化、教育基本法上の「不当な支配」禁止の意義などにつき考察を試みています。最近では、日本とドイツの不登校の問題、就学義務の違いなどについても研究の関心を拡げています。 教育を語る際には現状の問題を避けて通れません。そのため、そのような問題についても理論的あるいは実践的な言及や提言をしています。しかし同時に、現実の問題や実践とは少し離れて、理念的な自由保障や教育制度のあり方について理解を深めていきたいとも考えています。 |
教授 山田 恒久 | 教員紹介 | 研究業績 |
専攻分野 国際私法、国際取引法 | |
渉外的私法関係(外国的な要素を含む私法上の法律関係)における、実体法と訴訟法の交錯領域が、研究対象領域です。これまでの研究対象には、国際裁判管轄、国際仲裁、外国法人の訴訟法上の地位、契約準拠法と弁論主義の関係、渉外的親子関係、渉外的離婚などがあります。今後も、こうした領域の研究を深めるとともに、国際取引に関連する、統一法条約と国際私法の基本関係、意思によらない契約準拠法の決定基準などの、問題についても研究する予定です。 |
教授 吉川 信將 | 教員紹介 | 研究業績 |
専攻分野 商法(会社法) | |
メインは会社法ですが、企業活動に関連するその他の法令も研究対象としています。「株主主権による企業の組織?運営」及び「企業コンプライアンス」の在り方が最近関心を持っているテーマです。前者については、株主の利益の最大化を起点に考えることが会社の他の関係者の利益にもつながることを明らかにし、後者については、絶えることのない不祥事を法制面から抑制することの可能性を検討したいと考えています。国際競争に打ち勝ち、さらに企業の関係者に広く納得感が得られるような、合理性のある企業法制の在り方を提示することが目標です。 |
教授 若尾 岳志 | 教員紹介 | 研究業績 |
専攻分野 刑法 | |
個々人の自己決定領域と国家の(刑罰権の発動という形での)介入の関係に興味を持っています。刑法総論においては、違法論の、「被害者の同意」や「危険の引き受け」、「推定的承諾」といった問題点を、刑法各論においては、刑法202条(自殺関与罪?同意殺人罪)の処罰根拠などの問題点を研究しています。また?自己危殆化への関与?、「合意ある他者危殆化」といった問題点も絡んできます。違法性の実質は法益侵害にあると考えていますが、他者侵害としての法益侵害だけでは十分に説明できないような場合に、パターナリスティックな介入が認められるのか。認められるとしたら、刑法の解釈論上どのように位置づけられるのかを明らかにしたいと思っています。ですので、表面的には倫理(生命倫理?性倫理)が問われているような領域に、関心が向かいます。 |
教授 L.ペドリサ | 教員紹介 | 研究業績 |
専攻分野 憲法、比較憲法、国際人権法 | |
憲法、比較憲法および国際人権法について研究している。憲法学?比較憲法学に関する近年の研究対象としては、外国人の基本的人権の保障に関連するものとして、帰化制度を憲法上の立場から比較研究を試みている。そのために様々な国における帰化制度の仕組みを調査している。対象国は、出身国であるスペインの他、日本、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどである。一方、国際人権法の分野における研究としては、多くの人権条約によって保障されている「国籍への権利」(例えば、世界人権宣言15条を参照せよ)は、国内裁判所の判例においてどのように解釈されているかを検討している。最終的な目的として、国籍への権利は帰化への権利として捉えることが妥当であるかを解明したい。 |